そぞろごと

退嬰老人日記

雑記

人を殺す能力

私は自分よりもバカな人間にはあまりお目にかかったためしがない。たいていの人間は私よりはましな部類に属する。芥川のいう、「ばかな、嫉妬深い、猥褻な、ずうずうしい、うぬぼれきった、残酷な、虫のいい動物」とはまさしく私のことだ。いったいどういう…

わが心の大和田

大阪市西淀川区大和田西2の39。これが私の精神上の原籍地だ。私はここに9歳まで住んでいた。今日、仕事で近くを通ることになったので、しばらく車をとめて、子供のころ遊んだ思い出の場所を写真に撮ってきた。ひとさまにはまったく興味をもってもらえない…

好事魔多し

やっと軌道に乗りかけた宅録だが、ちょっとした不注意でギターの背面に穴を開けてしまい、リペアに出さざるをえなくなった。納期はひと月半とのことで、11月中旬まで宅録はお預けということになる。宅録はともかくとして、日常的にギターを弾くことが習慣に…

才能について

好きだけど向いていないもの、というのはつねにある。下手の横好きなんていうのは、たいていこの口だ。先日、ふと思いついて一人でカラオケに行った。ヒトカラなんて何年ぶりだろうか。まあ、コロナでさんざん悪者にされたカラオケボックスがどうなっている…

宅録再開にあたって

二年前にギタートリオの構想を練っていたのが頓挫して、仕方がないので宅録の機材一式をそろえて、自分一人でやってみようと取りかかった矢先に不規則な仕事が入ってきて、ことは中断のやむなきにいたった。出端をくじかれるというのはほんとに辛くて、これ…

マンガ、ロック、バラエティ

マンガというのは、私の子供のころには完全に悪者扱いだった。読むとバカになるというので、マンガ雑誌を買ってほしいというと、親は露骨にいやな顔をした。私が気兼ねなくマンガを読める環境はただふたつ、床屋での待ち時間と、病院での待ち時間。これだけ…

粋でこうとで人柄で

昔の本ではたまに見かける表現だが、この「こうと」は「高等」のつまったものだと思っていた。高等、つまり高尚というような意味かな、というふうに勝手に思いこんでいたのだ。ところが、最近饗庭篁村の「当世商人気質」を見ていたら、このこうとに「公道」…

万博のロゴマーク

大阪万博のロゴがきまったというので見てみたら、なんともいえず奇妙なのが選ばれていて、いったいこれはどういうことだろうと首をひねった。 どうみても素人が思いつきでデザインしたとしか思えないんだが……しかしまあ、考えてみたら、万博をやりたがるよう…

コロナ禍から得られたもの

6月の初めから人手不足のために早朝勤務に駆り出され、一日おきに4時半の起床を余儀なくされた。どうせこの生活が続くのなら、体調のためには毎日4時半に起きたほうがよくはないか、と思ってそうしてみたが、当然のことながら、通常勤務の日は早朝に3時間ほ…

コロナコロナはもう飽きた

うん、もうたいていの人が飽き飽きしているような気がする。だんだん感染者が増えつつあるというので、危機感をもってる人もいるようだが、そんなのはごく少数派だ。コロナなんて恐るるに足らん、とみんなうすうす感じてるんじゃないかな。少なくとも私のま…

Bassesse oblige

ノブレス・オブリージュという言葉がある。分ったような分らないような言葉だが、もし私の理解が正しいとすれば、それと対になるような表現も成り立つのではないかと思う。つまり、ノブレスの対であるところのバセス(bassesse, 卑賤)もまたなんらかのかた…

筋トレなるものあらずや

これをなすは、なおやむにまされり。というわけで、自粛生活における静かなブームに筋トレがあったらしい。なるほど、これならとくに道具もいらず、自宅で手軽にできる。そこで私もブームにのって、腕立てから始めてみることにした。動画サイトを見ると、プ…

オリンピックについて思うこと

コロナ騒ぎでオリンピックが延期となり、さらには中止になるかもしれないという。楽しみにしている人々にとっては由々しき事態だが、私としてはまるきり関心がなくて、どうでもいいや、という気持だった。しかし、スポーツにほとんど興味のない私も、かつて…

峠は越した模様

股間にデキモノができて医者に行ったのが先月の25日だった。あのころはまだ肌寒くて、道を歩いている人もまばらだった。それから2週間。思いがけず治療が長引いて、ほぼ毎日同じ道を歩いて病院へ通ったが、道行く人の数はだんだんふえてきて、今日は公園にた…

伝染性不寛容

不寛容は伝染する。自粛警察なんていうのは、伝染性の不寛容そのものではないか。自分のことを考えても、かなりこの不寛容が伝染している。ちょっと前まではこんな人間ではなかった。こんな、細かいことをいちいち気にする人間ではなかった。そう、不寛容の…

新世紀の幕開け

このたびのコロナ騒動で、やっと20世紀が終りを告げ、21世紀が始まるのかな、という気がしている。なにを寝ぼけたことを、もう20年も前から21世紀に入ってるよ、という声もあるだろう。まあそれはそうだが、われわれが〇〇世紀という言葉で思い浮べるあれや…

コロナ雑感

1992年(ほぼ30年前)に出た畑中正一の『現代ウイルス事情』(岩波新書)のなかに、「なぜ中国で最初に発生するのか」という一節がある。これによると、1918年のスペイン風邪(インフルエンザ)のウイルスも中国起源であり、地球上のほとんどすべてのウイル…

温故知新の解釈

ちょっと気になることがあったので、温故知新の意味をネットで調べてみた。すると──どのサイトも判で押したように、「過去を振り返って、そこから新たな知見を得ること」といった説明をあげてある。これは私には意外だった。というのも、私はこれまでこの言…

近況

この前ガヴォッチョロについて書いたが、それから十日ほど経った4月22日に、自分の股のつけねにガヴォッチョロ様のものができたのには驚いた。とにかくわけがわからないので病院で診てもらう。もちろん、ペストなどであるわけはないが、感染症にはちがいない…

日々是凶日

コロナコロナで 明け暮れて しづこころなし どうもこういう問題になると、なかなかデリケートで、うかつな発言はできないが、私は昨日だいぶ「3密」を破ってしまった。いうところの法事。なにもこんなときにやらなくてもいいのに……どうも日本人はまだ事態を…

ベースをリペアに出す

こんなことは書いてもしかたないのかもしれないが、まあ愚痴みたいなものですね。事の起りは、ベースの弦高を下げようとして、駒を削ったことだった。これがつい削りすぎて悲惨なことになった。胴の横に大きな穴が開いているのが前から気になっていたので、…

「ウイルス=悪霊」説

いつだったか、だれかのブログで「ハウスダストには悪霊が棲む」というような記述を見出して、なるほどなと思った。そのブログはおそらくオカルトや風水の見地から、掃除をすることの重要性を解いていたんだと思うが、私はオカルトとはべつに、もっと形而下…

幺微体

新型ウイルスが猛威を揮っているというので、連日報道がある。ヒアリのときでもそうだが、水際作戦なんてうまくいくわけがない。ちょっとした隙からいくらでも入ってくる。とくに日本のような、おめでたい国ではね。まあそれはそれとして、そういえばバクテ…

ボーディル・ヨーンスンのこと

自分のはてブを見直していたら、ボディル・ヨエンセンという人に関する(?)記事が目についた。その記事はもう読めなくなっているが、「動物愛好家、閲覧注意」という自分のコメントにはちょっと興味がわく。いったい、ヨエンセンとは何者か。ボディル・ヨ…

読書について

速読というのがあって、達人になると、一冊の本を数分で読むことができるらしい。もちろん努力の賜物であろうが、人間の脳というものがいかに高性能に作られているか、このことからもわかるだろう。私は、速読というほどではないが、若いころは本を読むのが…

余白を汚す者

上田敏の『牧羊神』に収められた、ギイ・シャルル・クロオの「譫語」のなかの忘れがたい一句、「古書に傍註して之を汚す者よ、額づき拝せ、われは神だ」これが原文ではどうなっているのか、前から気になっていたが、調べる手段がなかった。今ではネットとい…

d と z との間

ある本を読んでいると、「撫ぜる」という言葉が何度も出てくるので気になった。まあ意味はわかるが、ふつうは「撫でる」ですよね。ふしぎに思って調べてみると、どうも「撫でる」も「撫ぜる」もどっちもOKのようだ。どっちもOKということは、もしかしたらそ…

外国の詩のわからなさ

この季節は落葉がすごい。掃いても掃いても追っつかない。道ばたに溜った落葉が風に舞うのを見ながら、ふとヴェルレーヌの「秋の歌」を思い出す。これは上田敏の名訳によって日本でも広く知られている。私の母も、この詩と、カール・ブッセの「山のあなたの…

ピエール・ルイスは下司なやつ

ピエール・ルイス(正しくはルイ)を主人公にした映画が出たらしい。なんでいまごろ?このルイスなる作家には典雅な作品もあるが、気が狂っているとしか思えないものも多い。そんな彼の狂文を、『十二ダースの対話』からサンプル的に紹介しよう。内容に沿っ…

二人のプリュドム

prudhommerie とか prudhommesque とかいう言葉があって、いずれも Prudhomme(人名)に由来する。意味は、くだらないことを勿体ぶってしゃべる、ということで、そんな言葉の語源になったプリュドム氏というのは、いつしか私にとって俗物のひとつの典型にな…