Teuchedy について
ロバート・バートンの『憂鬱の解剖』に、Teuchedy というのが出てくる。これが何なのか、長いこと謎だったが、いつだったか、あるフォーラムでその語源解説がしてあって、なるほどと膝を打った。ところが、今見てみると、ページごと消え去っている。
もしかしたらどこかに移転しているのかもしれないが、探し当てることができなかった。そこで、記憶をたよりに覚書を作ってみよう。
バートンの記述をざっと記せば──
日本には Teuchedy なる偶像があって、月に一回、国じゅうでもっとも麗しい乙女が、初穂を摘まれるために、Fotoqui すなわち堂宇の一室に座らされる。時いたると Teuchedy(悪魔の一種ならん)が現れて、乙女を犯す。毎月新たな乙女が捧げられるが、彼女たちがその後どうなったかは、だれも知らない。
さて、この Teuchedy だが、ある人によれば、天照大神であるという。その根拠はといえば、
天照大神をテンショウダイジン(Tenshodaijin)と読んで、
Ten → Teu
sho → che
dai(jin) → dy
というふうに読み(書き)違えが起ったのではないか、というのだ。私にはけっこう説得的なのだが、どうだろう*1。
17世紀の英国では、まだまだ東洋に関する知識は浅くて、Fotoqui(ホトケ?)が church を意味するとか、かなりいい加減な記述が目立つ。
*1:ことに Teu における n と u との交替のごとき