短小亭日乗

短くて小さい日記

田島裕子「あざやかに生きて」


今週のお題「わたしの好きな歌」

たった一回聴いただけの曲が、なぜか執拗に記憶にとどまることがある。たとえば私の場合、田島裕子の「あざやかに生きて」がそれだ。

じつはこの歌手名も、曲名も、私にとっては長いこと謎だった。なにしろ大昔に一度、テレビでスタジオライブを見ただけで、その後はまったく耳にしないまま長年月がすぎたのだから。あやふやな記憶で「しなやかに生きて」という曲名だったような気がしていたが、検索をかけてもまったくヒットしなかった。私の見たと信ずるものは幻だったのでは? という疑いすら頭をもたげてきた。

ところが近年、検索エンジンの性能が飛躍的に向上した結果、インプットに少々誤りがあっても、正解の近くまで導いてくれるようになったのである。「しなやかに生きて」で検索すると、「あざやかに生きて」という曲が引っかかってくる。もしやと思って調べてみたら、これこそ私が長年求め続けていた曲だということがわかった。

この曲はCMとのタイアップで世に出たものらしいが、売れたのかどうか定かではない。ヒットチャートのどのあたりまで行ったのか、いまは確かめるすべがない。しかし、中古でシングル盤がけっこうな数出回っているので、まったく売れなかったわけではなさそうだ。あるいは、作ったものの売れ行きがぱっとせず、ゾッキに流れたものもあるのかもしれない。

まあそういうわけで、中古シングル盤を買ってみた。



1979年に出たというから、私が高三のころだ。それだけでも個人的にはとめどなく思い出がよみがえってくるが、そんなこととは関係なく、これは無条件にいい曲だと思う。

この曲のなにが当時の私にアピールしたか。いま考えてみれば、おそらくフランス印象派にも通じるオリエンタルな曲調、けだるい気分にふさわしく、やや間延びした小節数、それに最後のサビ(?)のところの転調だろう。この部分はじつにファンタスティックで、聴いていて思わず引き込まれる感じだ。

こんないい曲が埋もれたままなのは残念なので、音声ファイルを作って youtube にアップしておいた。



最後に、曲のデータと、ジャケット裏のライナーを紹介しておく。

岡田冨美子作詩、樋口康雄作曲・編曲


第10回(1975年)ポップコンつま恋本選会に、彼女自身の作品「目をそらさないで」で中島みゆき庄野真代因幡晃、本間由理とともに出場。第14回(1977年)には「気になる人」でツイストとともに再びステージをふむ。


持ちまえのライターとしての資質はこれまでのグループ活動時代からもうかがわれ、従来、明るいラブ・ソングが多かったのに加え、最近ではメランコリックな女の情感を感じさせる作風にまでひろがってきた。現在ヤマハ音楽工房の作家グループに所属、作品数約50曲。


大阪で子供達にピアノを教えたりポップコン大阪でパワーフル・トマトというコーラスグループのリーダーとして、スタジオ、ステージ等で活躍。