そぞろごと

退嬰老人日記

スーパーギタートリオのひみつのなぞ

1981年に出たスーパーギタートリオのライヴ盤。これを聴いてアコースティックギター(当時はフォークギターと呼んでいた)に対する認識が一変してしまった人は多いと思う。私もそれまで少しはギターにも触れていたが、この演奏に驚いてスパニッシュギターやらオベーションやらを買いこみ、しばらくはかれらの真似ばかりしていた。

このアルバムがYTにまるごとアップされている。それも6年も前から。



さて、このアルバムがすごいのは万人の認めるところだろうが、これを名盤たらしめているのは、必ずしも演奏者だけの功績ではない。というのも、これはアコギの実況録音盤には違いないが、レコード化の段階でいろいろと小細工が施されているのだ。

まずひとつは、低音成分をかなり強調してあること。その結果、音に厚みが出て、まるでベースが参加しているかのような、ドライヴ感が生れるのだ。

次に、再生速度を微妙に上げてあること。それにともなってピッチもやや上がっている。これはほんとに微妙な、かくし味といってもいいような処理なのだが、これによってスピード感がいやがうえにも増している。

最後に聴衆のリアクション。これを過剰なまでに入れることで、作品の芸術性を犠牲にしても、ライヴとしての臨場感が飛躍的に高まっている。


     * * *


それしても、かれらはその後も似たようなフォーマットで演奏を続けているが、このライヴ盤を超える演奏はおそらくひとつもない。自分が過去に打ち立てた記録を更新することができず、劣化コピーばかり量産しつづけるのもつらいだろうな、と思うのだが、かれらはたぶんそんなことは気にしていない。そんなことを気にするようなら、とっくに演奏活動などやめているだろう。

冷徹な自己認識をもたないのが、プロとしてやっていくための心得なのである。