そぞろごと

退嬰老人日記

ジャン・ジュネ『愛の唄』

ジャン・ジュネが1950年に作った映画『愛の唄』を見る。プライベートフィルムというのでもなく、かといって一般公開を意図していたとも思えない、ふしぎな映画。



感想はといえば、これは三島由紀夫が喜びそうな映画だな、というに尽きる。三島が喜びそうというより、これは彼のようなタイプの人間に見せるように作られた映画であって、けっして一般向きではないのだ。

私はジュネの本は一冊も読んだことがない。にもかかわらず、ジュネの世界というのは、なんとなく感覚的にわかってしまう。それが正鵠を射ているかどうかはべつとして、『愛の唄』は私の考えるジュネの世界をみごとに映像化しているように思った。

題名にある「愛」とはもちろん男子の同性愛であり、それを目で見る「唄」として歌い上げたのがこの作品だ。ここにはセリフはいっさいなく、物語性もないが、ポエジーの含有度はきわめて高い。

見る人が見れば傑作であろう。私は二度と見たくないが。