そぞろごと

退嬰老人日記

幺微体

新型ウイルスが猛威を揮っているというので、連日報道がある。ヒアリのときでもそうだが、水際作戦なんてうまくいくわけがない。ちょっとした隙からいくらでも入ってくる。とくに日本のような、おめでたい国ではね。

まあそれはそれとして、そういえばバクテリアを歌った詩人がいたっけ、と考えていたら、「幺微体」という言葉が思い浮んできた。進化の頂点に位置しているとみずから思い、万物の霊長なりとふんぞりかえっている人類が、とるにもたらぬ幺微体のためにばったばったと倒されていくのは、皮肉以外の何物でもない。私が神なら、いいぞ、もっとやれ、とけしかけているところだ。

まあ、自分のことを考えても、肺炎で死ぬのはわるくないな、と思う。どうせなにかで死ななければならないのなら、肺炎というのは望ましいものの上位に入ってくる。死期を意識しながら、ある程度の苦痛を味わい、そう長く闘病することもなく、衰弱の果てに死ぬ、というのは理想に近い。

だからといって、新型ウイルスよ、おれのところにこい、と双手をひろげて歓迎するわけではないが。